NPO法人DITTA

子どもを取り巻く社会課題

Social Issue

私たちが考える子どもの貧困の課題

子どもの貧困

Child Poverty

厚生労働省の「2022年国民生活基礎調査」によると、18歳未満の子どもの相対的貧困率は11.5%であり、

約9人に1人の子どもが相対的貧困状態にあるとされています。

厚生労働省の「2022年国民生活基礎調査」によると、18歳未満の子どもの相対的貧困率は11.5%であり、約9人に1人の子どもが相対的貧困状態にあるとされています。

相対的貧困とは、その国の生活水準と比較して困窮している状態であり、世帯の所得がその国の

等価可処分所得の中央値の半分(貧困線)に満たない状態のことを指します。

相対的貧困とは、その国の生活水準と比較して困窮している状態であり、世帯の所得がその国の等価可処分所得の中央値の半分(貧困線)に満たない状態のことを指します。

相対的貧困線 中央値
1人世帯
1,270,000
2,540,000
2人世帯
1,800,000
3,600,000
3人世帯
2,200,000
4,400,000
4人世帯
2,540,000
5,080,000

出典 : 厚生労働省 2022(令和4) 国民生活基礎調査の概況

近年、子どもの貧困率は改善傾向にあるとされています。しかし、その背景として共働き世帯の割合や

ダブルワークの割合が増加傾向にあり、結果として貧困ラインをわずかに超えているケースが増えていることが指摘されています。

こうした生活の安定と引き換えに健康や家庭内教育の時間が犠牲になっている現状に、懸念の声もあがっています。

近年、子どもの貧困率は改善傾向にあるとされています。しかし、その背景として共働き世帯の割合やダブルワークの割合が増加傾向にあり、結果として貧困ラインをわずかに超えているケースが増えていることが指摘されています。

こうした生活の安定と引き換えに健康や家庭内教育の時間が犠牲になっている現状に、懸念の声もあがっています。

ひとり親世帯の貧困

Single-Parent Household Poverty

厚生労働省の「2022年国民生活基礎調査」によると、ひとり親世帯の貧困率は44.5%であり、

ひとり親世帯の子どものうち約2人に1人が相対的貧困状態にあるとされています。

また、内閣府男女共同参画局の「男女共同参画白書 令和5年版」によると、ひとり親世帯の母子世帯率は約89%であり、

ひとり親世帯の貧困問題は主に母子世帯の貧困問題であるとされています。

厚生労働省の「2022年国民生活基礎調査」によると、ひとり親世帯の貧困率は44.5%であり、ひとり親世帯の子どものうち約2人に1人が相対的貧困状態にあるとされています。

また、内閣府男女共同参画局の「男女共同参画白書 令和5年版」によると、ひとり親世帯の母子世帯率は約89%であり、ひとり親世帯の貧困問題は主に母子世帯の貧困問題であるとされています。

貧困の連鎖

Cycle of Poverty

「貧困の連鎖」とは、子どもが生まれ育った環境の経済的困難が、十分な教育や経験の機会を奪い、

学力や就業機会・雇用形態に影響を与え、結果としてその子ども自身が大人になっても貧困状態から抜け出せず、

親から子といった次の世代へと貧困が繰り返されていく社会的な構造のことを指します。

「貧困の連鎖」とは、子どもが生まれ育った環境の経済的困難が、十分な教育や経験の機会を奪い、学力や就業機会・雇用形態に影響を与え、結果としてその子ども自身が大人になっても貧困状態から抜け出せず、親から子といった次の世代へと貧困が繰り返されていく社会的な構造のことを指します。

家庭の経済的事情により、学習塾をはじめとする習い事などの教育機会の選択肢が限定されることは、

「教育格差」「体験格差」と呼ばれています。これらは、結果として子どもたちの「学力格差」を生み出す一因になっています。

こうした「格差」は、本人の努力だけではどうにもならないことが多く、社会全体の仕組みの問題として考えられています。

家庭の経済的事情により、学習塾をはじめとする習い事などの教育機会の選択肢が限定されることは、「教育格差」「体験格差」と呼ばれています。これらは、結果として子どもたちの「学力格差」を生み出す一因になっています。

こうした「格差」は、本人の努力だけではどうにもならないことが多く、社会全体の仕組みの問題として考えられています。

不登校

School Refusal

文部科学省の「令和5年度児童生徒の問題行動・不登校等生活指導上の諸課題に関する調査結果概要」によると、

2023年度の小・中学校における不登校児童生徒数は346,482人(前年度299,048人)で、前年度から15.9%増加し、過去最多となりました。

増加の背景として、保護者の学校に対する意識の変化、コロナ禍の影響による登校意欲の低下などが考えられています。

高等学校のおける不登校生徒数は68,770人(前年度60,575人)で、前年度から13.5%増加し、こちらも過去最多となりました。

文部科学省の「令和5年度児童生徒の問題行動・不登校等生活指導上の諸課題に関する調査結果概要」によると、2023年度の小・中学校における不登校児童生徒数は346,482人(前年度299,048人)で、前年度から15.9%増加し、過去最多となりました。

増加の背景として、保護者の学校に対する意識の変化、コロナ禍の影響による登校意欲の低下などが考えられています。

高等学校のおける不登校生徒数は68,770人(前年度60,575人)で、前年度から13.5%増加し、こちらも過去最多となりました。

小学生数 中学生数 合計
令和元年度
53,350
127,922
181,272
令和2年度
63,350
132,777
196,127
令和3年度
81,498
163,442
244,940
令和4年度
105,112
193,936
299,048
令和5年度
130,370
216,112
346,482

出典 : 文部科学省 令和5年度児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査結果

不登校児童生徒について把握した事実として、小・中学校においては、「学校生活に対してやる気が出ない等の

相談があった」が32.2%と最も多く、続いて「不安・抑うつの相談があった」が23.1%、「生活リズムの不調に関する

相談があった」が23.0%、「学業の不振や頻繁な宿題の未提出が見られた」が15.2%、「いじめ被害を除く友人関係を

めぐる問題の情報や相談があった」が13.3%の順で多かったとされています。

不登校児童生徒について把握した事実として、小・中学校においては、「学校生活に対してやる気が出ない等の相談があった」が32.2%と最も多く、続いて「不安・抑うつの相談があった」が23.1%、「生活リズムの不調に関する相談があった」が23.0%、「学業の不振や頻繁な宿題の未提出が見られた」が15.2%、「いじめ被害を除く友人関係をめぐる問題の情報や相談があった」が13.3%の順で多かったとされています。

いじめ

Bullying at School

文部科学省の「令和5年度児童生徒の問題行動・不登校等生活指導上の諸課題に関する調査結果概要」によると、

2023年度の小・中・高等学校及び特別支援学校におけるいじめ認知件数は732,568件(前年度681,948件)で、

前年度から7.4%増加し、認知件数は過去最多となりました。増加の背景として、いじめ防止対策推進法における

いじめの定義やいじめの積極的な認知に対する理解が広がったことなどが考えられています。

文部科学省の「令和5年度児童生徒の問題行動・不登校等生活指導上の諸課題に関する調査結果概要」によると、2023年度の小・中・高等学校及び特別支援学校におけるいじめ認知件数は732,568件(前年度681,948件)で、前年度から7.4%増加し、認知件数は過去最多となりました。

増加の背景として、いじめ防止対策推進法におけるいじめの定義やいじめの積極的な認知に対する理解が広がったことなどが考えられています。

小学生数 中学生数 高等学校 特別支援学校 合計
令和元年度
484,545
106,524
18,352
3,075
612,496
令和2年度
420,897
80,877
13,126
2,263
517,163
令和3年度
500,562
97,937
14,157
2,695
615,351
令和4年度
551,944
111,404
15,568
3,032
681,948
令和5年度
588,930
122,703
17,611
3,324
732,568

出典 : 文部科学省 令和5年度児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査結果

また、いじめの重大事態の発生件数は1,306件(前年度919件)で、前年度から42.1%増加し、こちらも過去最多となりました。

そのうち、いじめにより当該学校に在籍する児童等の生命、心身又は財産に重大な被害が生じた疑いがあると

認められた件数は648件、いじめにより当該学校に在籍する児童等が相当の期間学校を欠席することを余儀なく

されている疑いがあると認められた件数は864件でした。

また、いじめの重大事態の発生件数は1,306件(前年度919件)で、前年度から42.1%増加し、こちらも過去最多となりました。

そのうち、いじめにより当該学校に在籍する児童等の生命、心身又は財産に重大な被害が生じた疑いがあると認められた件数は648件、いじめにより当該学校に在籍する児童等が相当の期間学校を欠席することを余儀なくされている疑いがあると認められた件数は864件でした。

子どもの自殺

Child Suicide

文部科学省の「令和5年度児童生徒の問題行動・不登校等生活指導上の諸課題に関する調査結果概要」によると、

2023年度の小・中・高等学校から報告のあった自殺した児童生徒数は397人(前年度411人)で、前年度から約3.4%減少しました

(令和5年度の警察庁の統計数値では525人とされており、128人の差があります)。

10代(10~19歳)の死因の第1位が自殺であるのは、G7諸国の中で日本のみであり、極めて憂慮すべき状況にあります。

文部科学省の「令和5年度児童生徒の問題行動・不登校等生活指導上の諸課題に関する調査結果概要」によると、2023年度の小・中・高等学校から報告のあった自殺した児童生徒数は397人(前年度411人)で、前年度から約3.4%減少しました

(令和5年度の警察庁の統計数値では525人とされており、128人の差があります)。

10代(10~19歳)の死因の第1位が自殺であるのは、G7諸国の中で日本のみであり、極めて憂慮すべき状況にあります。

小学生数 中学生数 高等学校 合計
令和3年度
8
109
251
368
令和4年度
19
123
269
411
令和5年度
11
126
260
397

出典 : 文部科学省 令和5年度児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査結果

自殺した児童生徒が置かれていた状況(複数回答含む)として、「不明」の186人に続いて、「家庭不和」が65人と最も多く、

続いて「精神障害」が61人、「父母等の叱責」が42人、「進路問題」が38人、「友人関係(いじめを除く)」が31人

「その他」が27人、「厭世」が25人の順で続いています。

自殺した児童生徒が置かれていた状況(複数回答含む)として、「不明」の186人に続いて、「家庭不和」が65人と最も多く、続いて「精神障害」が61人、「父母等の叱責」が42人、「進路問題」が38人、「友人関係(いじめを除く)」が31人、「その他」が27人、「厭世」が25人の順で続いています。

私たちが考える子どもの貧困の課題

Our Perspective on the Challenges of Child Poverty

子どもの貧困支援として社会で取り組まれている事業の課題

貧困の連鎖を止めるために一定の効果があるとされている「学習支援教室」において、

学習インセンティブの低い子も含めより包括的な支援を行うために、「学習支援教室」に

「居場所」の要素を付加した際に生じてしまう問題とは。

貧困の連鎖を止めるために一定の効果があるとされている「学習支援教室」において、学習インセンティブの低い子も含めより包括的な支援を行うために、「学習支援教室」に「居場所」の要素を付加した際に生じてしまう問題とは。

居場所より学習を重要視した場合

・学習意欲が高い子どもへのアプローチが優先されるため、学習意欲が低い、または低学力の子どもが排除されてしまう(子ども側が自ら参加しなくなる、または運営側が参加させないようにする)

・高校受験(大学受験)がおわる、または高校生になると学習ニーズが低下し生徒の参加率が下がってしまう

学習より居場所を重要視した場合

・学習意欲が低い子どもに合わせたペースで運営され、学習よりも遊びの要素が多くなるため、学習意欲が高く学習塾と同様な支援を求める子が排除されてしまう(子ども側が自ら参加しなくなる)

・目的がとりあえず現状の能力で進める学校に行くことになり、学習支援教室の本来の目的が薄れてしまう

問題点

「学習」と「居場所」のどちらかを優先すると、どちらかが排除される構造になっており、「学習」と「居場所」は両立し得ないという「学習と居場所のディレンマ」という問題が生じてしまう。つまり、「学習支援教室」という一つの狭い枠組みだけでは効果的な貧困支援であるとは言えず、「学習」と「居場所」をどのように両立させ、さらにそこからどのように「仕事」にまで繋げるか、より効果的な事業を考えなければなりません。

二つの「環境」問題と支援に必要な三つの「環境」

そもそも、子どもの貧困の課題とは何か。私たちはそれを、生活や学習などの作業を行う現実の空間や状況を指す「物理的環境」問題と、生活や活動を行う中で影響を受ける社会的な状況や条件を指す「社会的環境」問題という二つの「環境」問題と定義しています。

そもそも、子どもの貧困の課題とは何か。私たちはそれを、生活や学習などの作業を行う現実の空間や状況を指す「物理的環境」問題と、生活や活動を行う中で影響を受ける社会的な状況や条件を指す「社会的環境」問題という二つの「環境」問題と定義しています。

物理的環境

→生活や学習などの作業を行う現実の空間や状況

社会的環境

→生活や活動を行う中で影響を受ける社会的な状況

そして、その二つの「環境」問題に対して、安全で一人でも目的なくても居られる「居場所的環境(静的環境)」、設備の整った集中して学習などの作業に取り組める「学習的環境(動的環境)」、今までの狭い世界での価値観を壊してしまうような環境との出会いを支える「活動拠点(ハブ)」といった三つの「環境」を整備することが必要で、これらが相互に影響を与えることで効果的な貧困支援になると考えています。

そして、その二つの「環境」問題に対して、安全で一人でも目的なくても居られる「居場所的環境(静的環境)」、設備の整った集中して学習などの作業に取り組める「学習的環境(動的環境)」、今までの狭い世界での価値観を壊してしまうような環境との出会いを支える「活動拠点(ハブ)」といった三つの「環境」を整備することが必要で、これらが相互に影響を与えることで効果的な貧困支援になると考えています。

三つの環境を備えた「ユースベース(子ども・若者の活動拠点)」の創設

私たちは、学習支援教室の「学習と居場所の両立と仕事までどう繋げるか」といった課題と、二つの環境問題に対する「三つの環境の整備」といった課題に対して、「ユースベース」という子ども・若者の活動拠点になる一つの施設を創設し、そこに三つの環境と機能を備え、それぞれの機能を往復することで相乗効果が生まれ、より効果的な支援になり得ると考えています。